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38  獅子舞い

 獅子舞いは,毎年秋祭に豊作を感謝して行なわれているが,山崎獅子舞いと北島獅子舞いは有名で,それぞれにその伝統を誇っている。
 山崎獅子舞いは,古老の言によると,約150年前に,現在の川島町唐戸から分身され,その舞い方を伝授されたものであるという。その当時は,毎年春秋の「虫追い」行事として村境で行なわれていたらしいが,現在では山崎忌部神社祭礼に神事として行なわれるようになったものである。その構成は,大だいこ1,小だいこ2,獅子2頭(育と赤),打ち児3人で,そのうち大だいこを打つ児は獅子てがいと呼び,2人がかりで舞う獅子の相手となる。
山崎の「獅子舞」は平成4年7月28日、山川町(現・吉野川市)の指定を受けている。
 北島獅子舞いは,原田義胤の説によると,「かつて,北島は山上(川辰),京極,極上,森本屋などの藍商を営む分限者がいたし,また,渡船湯があって旅人の往来も激しく,川田産物の集散地でもあり,多額の現金が落ちて大変豊かな所であった。獅子頭は数年毎に新調しなければならず,そのたびに多くの費用がかかる。しかし,財源の豊かな北島では,ずっと獅子舞いが伝承されてきたのである」といわれる。
 また,原田好次郎は,「当時,土地の習慣として,養子は祭礼のお練りに挟箱役になるが,山上の養子がこれを嫌い,獅子を買入れて舞ったのが,その起こりである」ともいっている。
 太平洋戦争以来中止されていた獅子舞いも,昭和44年に復活され,秋祭には野郷神社を中心に盛大に行われていたものの、現在は中絶しているが、復活を望む声もある。
 その構成は,小だいこ3,獅子2頭(育と赤),打ち児3人で,昔はその年に産まれた子の産衣を借りて衣しょうにしたといわれる。