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19  岩戸神社  岩戸3番地

 山川町の東端と川島町学との境に忌部社摂社岩戸神社があり,天石門別命・天太玉命を祭ってある。社殿の西側に,天底立尊・建御名方命を祭る建美神社がある。また,境内の大きい岩の上に「おごけさん」と呼ばれる小さい祠がある。
 古老の話によると,その岩の穴に水があり,その水をつけると「なまず」と呼ばれる皮膚病が治るといわれ,そのお礼に岩戸池へナマズを放すならわしがあったとのことである。
 社前に小さい池があり,花崗岩の橋がかかっているが,この池は麻晒の池ともいわれ,吉野川がまだこのあたりを流れていた頃忌部族がここで麻を晒していたと伝えられている。
また,この池にかかる橋は大正11年(1922)にかけ替えられたもので,昔は屋根や欄干のついた美しい木橋でマツの緑と共に水面に映え,この池の水をまぜると大しけになるといわれ,実際になったことがあるとのことである。池のほとりに花崗岩の石碑があり「御神池壱反弐畝拾壱歩,寄附者・塩田貞平・真田文平・世話人山瀬町長三谷豊太郎,氏子総代松永堅太郎,岡多平,三橋友三郎,白山清一,松浦歓一」と刻んである。
 社殿は大正15年(1926)3月に改築され,寄附者名を刻んだ石碑がある。
 旧3月節句の翌日(しかのあくにち)と旧6月30日との祭日には,境内に露店が並び,大変にぎわう。
 当日,鳥居の間に藁で輪をつくり,それをくぐって参拝するならわしがあり,「一輪ぬけ」と呼んでいる。これは輪をくぐることにより,罪穢を払い,息災延命を願う神事である。

岩戸神社

岩戸神社麻晒の池

岩戸甌穴